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ウォルター・クレインの「三びきのくま」
2018-05-14
ウォルター・クレインは、ヴィクトリア時代の子どもの本の挿絵において外せない作家です。
この本は、1870年代にラウトリッジ社からエドマンド・エヴァンズと組んで30冊近く刊行したトイ・ブックから選んだものを、大型サイズで新たに製版し直し、世紀末頃にジョン・レーン社から刊行されたものの一冊です。
もともとクレインは、浮世絵に傾倒していて、1874年の「かえるの王子さま」からはじまるトイシリーズは、画面構成や大胆な平塗りなど、その影響がつよく見られます。
そのトイ・ブックは3色でしたが、世紀末に大型絵本として再版されたこのシリーズは、6、7色と多色木版刷りで豪華。
同じ世紀末に出されたレズリー・ブルックの「三びきのくま」と比べても、かなり装飾的です。
ところで、絵本美術館のエントランスには、近代絵本の祖として、コールデコット、ウォルター・クレイン、ケイト・グリーナウェイの3人の棚があるのですが、彼らは偶然にも皆一年以内に生まれています。
もちろん私はコールデコットが好みなのですが、この装飾的なクレインものがやたらと手に入る…
それだけ彼が当時の子どもの本の流行作家と言うことなのでしょうか。
19世紀は、子どもを「小さな大人」として扱いがちだったと言われますが、クレインの絵本はまさにそんな感じです。
ドツボにはまっていて、古臭い。
浮世絵みたいには斬新にいかなかったみたいですね。
